BoeingとAirbus

2008年就航予定のボーイング787型機は、民間航空機では世界で初となるカーボン繊維樹脂を採用した航空機である。航空機用複合材料は、金属よりも軽くて強いというメリットがあるが、ジュラルミンに比べ5倍以上のコストがかかることが欠点であった。ところが近年の航空燃料の高騰から、機材の自重を軽くし、その分より多くの旅客と貨物を積み込める高燃費型の航空機需要が高まり、市場ニーズとマッチした。
787型の主翼部品を担当した富士重工の生産ラインでは、低コスト製造技術の確立が急務とした。従来の方法では、カーボン繊維樹脂フィルムを重ね合わせてから窯で焼き付け、その後成型していた。そこで新しくRTM(レジン・トランスファー・モールディング)法と呼ばれる製造技術を採用した。これはフィルムを重ね合わせるのではなく、まずカーボン繊維だけを編み込んで部品の形にする。そしてその後に樹脂を含ませ完成させるという方法である。このため部品の大きさを制限する焼き窯もいらない。人手も少なくでき、巨大な部品でもゆがみは少なくなる。以前に比べ、強度は同じでコストは半分になるという。
787型は当初の予想より発注が多くなったため、ボーイング社は現在3機ある半製品を輸送する特注の貨物専用機を台湾で追加製造する予定である。



エアバスの新型機A380型は、配線におけるトラブルから就航が2010年10月に延期された。ジャンボ機の配線は総延長で30キロメートル程度とされ、A380ではこの配線を軽量化する目的で、従来の銅線からアルミ線を採用した。しかし組み立て段階となってこのアルミ線は、湾曲した各部に対して銅線のように曲がらないことがわかり、A380は設計を再度見直すこととなった。

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