中華連合に関する考察

台湾問題は、中国政府が最も頭を痛めている問題の一つである。
そこで中国、台湾及び香港の上に中華連合を組織し、
人、物、金の動きを共通、共有化して、
アジアの主力国家連合を構築するという案がある。

これはつまりは、EUのアジア版であり、国際統合政策である。
これにより、アメリカの中道派が唱える、世界のパワーバランスの均衡化
(EU、アジア、アメリカの三大組織により世界全体のバランスをとる戦略)
に、一歩近づくことができる。
そもそも昨今のアメリカの単独覇権主義体制には
国連はもとより世界の国々からの批判が強い。
これもアメリカ政界のネオコンと中道派の対立から生じているわけだが、
クリントン政権下の歴史を見ても、
中道派の目指す国際協調主義のほうが、文明の発展と平和が保たれ、
より多くの利益を国際社会全体にもたらすはずである。

台湾人と香港人の中国進出は近年とても盛んになっている。
これは、それぞれの国の経済発展が
飽和状態に達しつつあることが主な理由と考えられるが、
それ以上に発展が抑制されてきた中国大陸の将来性、
人口から見る市場規模の魅力がある。
中国公用語の普通語(北京語)は三国間で通じる言語であり、
システムさえ整備されれば、人々の往来がより活発化することは明白である。

通貨においてはEUで統合されたユーロのような、
アジアを代表するアジア通貨バスケット構想
(Asia Currency Basket構想)の原型を形作ることが求められている。
アジアの国々の通貨価値を決定付けているのは、
対ドルレートであるのが現状である。
しかしながら先に触れたパワーバランスの均衡化を図るためには、
アジア独自の強い通貨が不可欠であり、ドルに依存することは好ましくない。
実現すれば、アジアの国々の間で通貨リスクを分散することもできる。
昨今の人民元の切り上げ圧力とアメリカの金利引き上げから、
人民元の発行額は急激に増加し、香港ドル、台湾ドルは
国営銀行の市場介入による買いが後を絶たない。
このことからも中国は、ただ人民元を切り上げするよりも、
香港、台湾を巻き込んでの市場介入のほうがメリットが大きい。
香港、台湾にしても、早い段階で中国と手を結んだほうが
将来的な利益は大きいはずである。

察するところ日本は、中国の経済力が日本のそれを上回るまでは、
この大変動のアジア情勢に気づくことはないと思われる。
「ありえない」ということは「ありえない」のである。

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