ゲストハウスを設立せよ

 規制緩和によって急速に増加した若年日雇い労働者は安定した仕事と住居を求めている。都心部近郊には多くの物流施設や工場があるが、そこで働く低賃金作業員は全国から集まる。

 企業側からすれば、派遣会社によって手配される日雇い労働者はいわば「将棋の駒」である。彼らは頭数が必要な単純作業要員として手配されるため、労働を通したスキルアップや福利厚生はないに等しい。所得の半分は派遣会社にピンハネされるため、働いても働いてもお金が残らない、いわゆる「ワーキングプア」に陥るのだ。

 若年日雇い労働者の共通項としては、家庭環境と教育環境に恵まれず日頃から自虐的な傾向にあることである。この負の連鎖に直接的な対策を施すには、親代わりとなって彼らの道しるべができる指導者と日常生活の中で接することではないだろうか。そういった意味で、様々な人種の集まるゲストハウスにその役割を任せることは適任であると考えている。

 ゲストハウスは本来、バックパッカーのための安宿である。しかしながら最近の傾向をみると、日雇いの若者を寝泊まりさせ社会生活を支援しているゲストハウスが増えているようである。これらのゲストハウスは営利目的でなく、単にオーナーの好意によって運営されている。オーナーにはご当地の資産家が多く、社会貢献や個人的趣味としてゲストハウスを運営している。

 物流のような労働集約型産業は、今後とも日雇い労働者を採用せざるをえない。ここでは企業が作業員の衣食住を確保するため、ゲストハウスを設立し、給食を無料で提供し、作業服を格安で販売するビジネスモデルを提案したい。現場を機械化できない企業規模ならば、そこで働く作業員を手厚くもてなしていくことが理想的マネージメントであろう。現場に活気があれば、改善案もアイディアも自然と生まれてくるというものだ。

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