国際輸送事業の海外展開

世界のキャリア、フォワーダー、インテグレーター、ロジスティクス・プロバイダーが競合する中で、国際物流の市場は大きく変貌している。
自社戦力投入によるシェアの拡大は即効性を失い、目下、「企業買収」と「戦略的提携」によるシェア拡大作戦が活発に実行されている。


・企業買収
日本でも製造業を始めとする国際企業は、企業買収、企業統合を含めた国際化を急速に実施している。しかしながら日本の物流業者は、かねてからアメリカ、EU、アジアへの進出を積極に展開してはいるが、多くの物流企業は彼らの日系荷主の海外進出に付随し海外進出したものが多く、独自の基盤を確立するには至っていない。
大手の物流企業も現地企業を買収すべく経営戦略については十分認識しているものの、現在の経営環境のもとでは実施に踏み切れないのが現状と思われる。
しかしながら、EUの伝統的な国際フォワーダー、ロジスティクス企業、郵便事業者、アメリカのインテグレーターなどは、アメリカ、EUのみならず中国を含めたアジア市場へ積極的な攻勢をかけてきている。
アジア市場では、アジア出身の国際フォワーダー及びロジスティクス企業が未だ出現していないことから、特に、日本の国際フォワーダーがアジア市場をベースとした国際市場における基盤を早急に拡充することが望まれる。


・戦略的提携
日本の国際フォワーダーの海外パートナーとの提携は、数十年前試みた単なる企業提携の域をでておらず、真の意味での現地化と、海外市場における国際企業としての戦略的な取組みを実施するまでには至っていない。
なぜなら彼らの海外活動は、あくまでも日本本社の経営判断に基づく作戦展開であり、未だ分社化による現地での独立経営が行われていないからである。


荷主企業は、国際競争のなかで生き残りを賭けた現地化を実施しており、今後、日本の物流企業もいっそう現地化を推進し、海外で独自のサービスを推進していかない限り、国際市場でシェアを確保していくことが難しくなる。
新たな経営戦略による現地化の推進と、独自サービスの開発にチャレンジすることが期待されよう。

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

なるほど、国際物流を展開する物流企業が、
多国籍企業化には、それほど積極的でない。
考えてみると不思議ですねえ。